相続法改正その1(自筆証書遺言の方式緩和)

今年1月から自筆証書遺言の方式が緩和されます

 

今年は、去年7月に改正された民法が徐々に施行されていきます。その手始めが相続法の中でも自筆証書遺言についての改正規定です(改正民法968条)。これは1月13日から施行されます。

 

これまで、自筆証書遺言という最も簡単に作成できる遺言書は、
①本文
②目録
③日付
④氏名
について、遺言者が自分で手書きをしなければならず、押印が必要とされてきましたが(改正前民法968条1項)、 今回の改正によって、②目録について、パソコンで作成したり、だれかに代筆を頼んだり、登記簿謄本や預貯金通帳の写しを添付したりしてもよいということになりました(改正民法968条2項)。

 

もっとも、目録を自分で手書きしない場合、各ページごとに署名・押印を付さなければなりません。両面にわたる場合は、両面それぞれについて署名・押印が必要とされています(同条2項)。

 

なお、従来から方式が厳格すぎるのではとの批判があった訂正方法については、条文がそのまま維持されています(同条3項)。すなわち、加えたり削除したりといった訂正をする場合は、
①訂正場所を指し示し、
②変更した旨を記載し、
③訂正箇所ごとに、署名及び押印をしなければならない、
とされています。通常の正式文書での訂正方法(二重線を引いてその上に押印)だけでは、少なくとも条文上は不十分だということを覚えておいてください。また、目録を上のように手書き以外の方法で作成したときは、新しく作成した目録と差し替える形で訂正したい場合であっても、元の目録を捨ててはならず、バツ等をつけて添付したままにしておく必要があるとされています。

 

自筆証書遺言は、証人等が不要で簡単に作成することができるようにみえますが、実は一般の人が不備なく作成することは予想以上に困難です。例えば、今回の改正には関係しませんが、自筆証書遺言が複数枚に及ぶ場合、契印や各ページへの署名押印がないと、後日、相続人間で争いが生じてしまうことにもなりえます。こういう細かい点は条文には書いていないのです。

 

ですので、遺言書を作成する際には、少なくとも弁護士に相談し、できれば公正証書遺言を作成されることを強くお勧めします。自分の身内で揉め事が生じるわけはないと信じたいお気持ちは分かりますが、法定相続分と何かしら異なる分け方を遺言書で指示される場合は後日争いが起こる可能性があると想定しておいた方が無難です。ご自身の資産の相続のさせ方についてご自身の意思を反映させたい場合や、ご自身の死後に争いが起きないようにしたい場合は、この点十分にご注意ください。

 

次回は、相続法改正その2として「配偶者居住権の新設」について書いていきたいと思います。