米国でのポケモンGO訴訟の和解案の内容

 

前回のブログでも書きましたが、米国で行われていた、ポケモンGOのジムやモンスターを他人所有地に設置することに関する集団訴訟において、Niantic社が提示した和解案で和解が成立する見通しになったことが報道されています。

 

今後のVR、ARゲームの仕様に影響を与えると思いますので、その内容について、自分の備忘として記録しておこうと思います。なお、訴訟の経緯等については、こちらをご覧ください。

 

和解案の全文(英語)はこちらです(ダウンロード方法が分かる方がいらしたら、ご教示いただけると助かります)。

 

和解案の冒頭には、訴訟の経緯が記載されており、後段には、本和解の効力の及ぶ範囲や、弁護士費用等が詳細に記載されているところ、他のゲームの今後の設計等との兼ね合いから重要と思われるのは、和解案2.1の各項目です。以下のInjunctive Relief(差止による救済措置)を当面少なくとも3年間にわたり行うことが和解の条件であるとされています(以下、逐語訳ではありませんので、正確には原文を当たってください)。

 

(a) Nuisance(迷惑行為)、trespass(不法侵入)に関する苦情や、ポケモンジムやポケストップを撤去してほしい旨の要請を受けた場合、Nianticは、毎年95%以上の苦情等について、15日以内に、解決し、かつ、解決した旨の報告をするよう商取引上合理的な努力を尽くさなければならない。

 

(b) 前項の苦情申立者が一戸建住宅の所有者であり、かつ、ポケストップやポケモンジムが当該物件から40メートル以内にある場合、Nianticは、当該ポケストップ又はジムを撤去しなければならない。前項又は本項の解決においてポケストップ又はジムの撤去が必要な場合、Niantic は、Nianticが撤去に合意してから5日以内に当該撤去が行われるよう商取引上合理的な努力を尽くさなければならない。

 

(c) Nianticは、前記苦情や撤去要請について、最低1年間はそのデータベースを保存するよう合理的努力を尽くさなければならない。また、一戸建住宅に新たなポケストップ等を設置しないよう合理的努力を尽くさなければならない。

 

(d) Nianticは、一戸建住宅の所有者がその敷地内又はそこから40メートル以内にあるポケストップ等の撤去を要請できるフォームを、ウェブサイト上に置いておかなければならない。一戸建住宅の敷地から以前又は本訴訟係属中にポケストップ等を撤去したことのある場合、Nianticは、将来再びその敷地にポケストップ等を置くことのないよう合理的な努力を尽くすことに合意する。

 

(e) ゲーム内のイベントである「レイド」に10人以上のユーザーが参加する場合、現実空間の環境に注意を払うよう警告のメッセージが現れるようにするよう、Nianticは合理的努力を尽くさなければならない。その文言はNianticの裁量で定められるものとする。

 

(f) ユーザーからのポケストップ等の設置申請に際して、それを審査するユーザーリビューワーに対し、Nianticは、当該ポケストップ等が一戸建住宅の敷地内若しくはその40メートル以内にないか、又は、公園内に存在しないかを審査するよう具体的な指示を加える。当該指示には、最低限、民間のGoogleマップ等の地図サービス等の複数の手段を用いて、ポケストップ等が前記に当たらないかを確認せよという内容が含まれるようにしなければならない。当該審査を経た上で、Nianticは、敷地内等にポケストップ等を設置しないよう合理的努力を尽くさなければならない。

 

(g) Nianticは、設置によりnuisanceやtrespassの問題が生じるおそれのあるポケストップ等を避けるべく、統計的に有意な割合のポケストップ申請について、従業員や受託業者を通じて、実際に確認することに合意する。

 

(h) Nianticは、公園に設置されているポケストップについて、公園の開閉園時間が適用されるよう公園側が要請できる仕組みを確保することに合意する。Nianticは、公立公園の管轄内に設置されているポケストップ等について、所管機関から開閉園時間を適用するよう要請があった場合は、それに従うことに合意する。また、本和解の通知とは別に、3年間に少なくとも一度は、公園側からの要請に基づき公立公園におけるポケストップ等に開閉園時間を適用する旨、Nianticのウェブサイトに公表しなければならない。

 

(i) Nianticは、(a)を遵守しているかを確認すべく、3年間に少なくとも一度は、原告らからの30日以上前の要請を条件として、原告らの希望の時期に、同社の負担において、同社の選択する独立の会社による監査を行わなければならない。仮に、当該監査において、顕著な不遵守があると判断された場合、3年の間に改めて、原告らからの30日以上前の要請を条件として、Nianticの負担において、2度目の監査を実施しなければならない。

 

(j) Nianticは、ゲームのスタート時に交代で表示される警告メッセージ(現時点では、「許可無く立ち入ってはいけない場所や建物には、決して入らないでください」と「運転中にポケモンGOをプレイしないでください」というものがある)に、「ポケモンGOをプレイする際には現実空間にいる人たちに配慮してください」という内容のものを加えなければならない。最終的な文言はNianticの裁量に委ねられる。

 

ポケモンGOのようなゲームを制作する際は、この内容を参考にされるのがよいでしょう。