債権法改正・時効の完成猶予と更新

 

時効期間が進行して時効が完成するのを妨げる事情のことを「時効障害事由」といい、
その時効障害事由は、現行民法では、時効の中断及び停止と分類されているところ、改正債権法(一部を除き2020年7月から施行)では、「時効の完成猶予」及び「時効の更新」という概念に整理されています。

 

多くの本では、
「時効の中断」という概念が「時効の更新」に替えられ、
「時効の停止」という概念が「時効の完成猶予」に替えられた、と説明されています(潮見佳男教授「民法(債権関係)改正法の概要」参照)。

 

ピンとこないため、現行法との比較表を作成してみました。

 

裁判上の請求 完成猶予(新147条1項) 中断(147条1号)
支払督促 完成猶予(新147条1項) 中断(150条)
民訴法275条1項の和解/民事調停法・家事事件手続法による調停 完成猶予(新147条1項) 中断(151条)
破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加 完成猶予(新147条1項) 中断(152条)
確定判決等による権利確定 更新(新147条2項) (174条の2)
強制執行/担保権の実行/強制競売/財産開示手続 完成猶予(新148条1項) 中断(差押え、147条2号)
上記事由(強制執行等)の終了 更新(新148条2項)
仮差押え・仮処分 完成猶予(6ヶ月、新149条) 中断(147条2号)
催告 完成猶予(6ヶ月、新150条) 中断(153条)
協議合意 完成猶予(原則1年、新151条)  
権利の承認 更新(新152条) 中断(147条3号)
天災 完成猶予(3ヶ月、新161条) 停止(161条)

 

こうしてまとめると、時効の更新事由は、確定判決又は強制執行等の終了による時効の新たな進行の場合と、従前時効中断事由であった「権利の承認」の場合とであると整理されます。冒頭の概念整理にあたり、幾分か理解の足しになれば幸いです。